2023年5月4日

大好きな踊り子さんの引退のしらせを聞き、しょぼくれながら劇場に通う日々が続いている。先日大混雑の劇場に女4人で押し寄せ、あまりの混雑っぷりにロビーで干からびていると、隣に腰かけていた妙齢の男性から突然声をかけられた。「お嬢さんたちは常連なの?」。まあ女が連れ立って行くところではないし、私自身もよくこのような導入で声をかけられることは何度かあったので、ああ女客に声をかけたいだけのジジイか~と思っていた。が、少し状況は違った。

 

適当に相槌を打っていると、男性が「僕は初めて来たんだけど、ロビーは飲食OKなのかな…?弁当食べちゃったんだけど…」と漏らしはじめた。彼は私たちに話しかける前、几帳面に詰められた手作りのお弁当をパクパク食べていた。食べ終わったあと、それを不安に思ったのだろうか。我々は口々に大丈夫ですよ~と声をかけたが、男性は念のためにと近くにいたおかみさんに改めて謝罪を入れていた。すると案の定、優しいおかみさんから「お弁当買ってきてここで食べる人たくさんいるから、大丈夫よ」と声をかけてもらい、ほっと胸を撫でおろしていた。

 

男性は「仕事サボって初めて来たんだ」と照れくさそうに漏らし、ステージのある地下へ降りていった。さっきの几帳面なお弁当も、きっと奥さんが作ってくれたものなのだろう。大型連休中に仕事をサボってストリップ来るなんて最高だと思うし、彼は何がきっかけでひとりでストリップに行こうと思ったのかすごく気になる。私が初めてストリップを観たのも、鬱で休職し拒食状態というボロボロの状態だったので、人がストリップに出会う時は何か引力のようなものが働いているのではないかと説を立てているからだ。男性の初ストリップ体験が素敵なものであることを、願わくば推しの踊り子さんができることを祈っている。